MIDIの悲劇
PCの出力装置には色々な物がある。その中で最も密接に触れるのが視覚系である。だから出力装置の中で視覚系の物が真っ先に標準装備の能力を上げてきた。そもそもDOS時代にモニタ画面で見られる物など、同時発色数は16色しかなかったのだ(但し、PC-9801)。それがWindowsの普及とともにグラフィックボード(当時はWindowsアクセラレータボードとかなんとか言う呼び方もあった)は256色が出せる様になり、あっという間に標準で1677万色出せる様になった。
だからCG絵描きの人はその1677万色環境で絵を描いてそれをWebで公開しても、それを見る側も(まがりなりにも)同じ色数で見て貰える訳だ(実はグラフィックボードやモニタにも値段の高い物と安い物では見え方に天と地程の違いがあるのだが)。
その一方で画面とは違って常時使用される訳ではない音源装置の方は完全に取り残された。WAV系の様な元の波形をそのまま再現するものはまだしも再生側の装置に完全に依存するMIDIで悲劇が起きた。
乱暴な言い方をすると現在のWindowsPCで標準で入っているMIDIデバイスのMicrosoft GS Wavetable SW Synthを使ってSC-88用MIDIデータを再生するのは1677万色のCGを256色しか出せないグラフィックボードで見ている様なものだ。だが世間一般にいる大部分のWindowsユーザの中のさらに大部分のユーザはそう言う環境でしかMIDIを聴いていないからMIDIはそう言う貧弱なものだと言う感覚が染みこんでしまっている。本当は出力装置が貧弱なのに。
そこでMIDI作者は最近は回線の高速化とストレージの拡大に応じてMIDIデータは自分のところのちゃんとした装置で再生してそれを録音し、MP3も提供する様になって来た。しかしこれがまたさらなる悲劇を生んで、無理解な閲覧者からはそのMP3データはCDから録音されたものだと思われたりしている(それだけ出来の良いMIDIデータと言う事なのだが)。
MIDI作者の受難はつづく。
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