勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~・第12話・最終回
タイコーン辺境伯、娘のファミルが老化病に罹ってしまい、それを治すのも元に戻すのも出来ない。それで「あの方」に言われるがままに魔族の細胞を使って病をなんとかしようとしていた。だが、リーゼロッテやユーリシアにそれが知られてしまってはもう悪魔を呼び出して自分を守って貰うしかない。床に描いた魔法陣で悪魔を呼び出そうとしたが、でも出て来ない。
リーゼロッテ曰く、ここの地脈が変わってしまったので出ないのでしょう。あの温泉を掘ったから。あの温泉、ここの伏線になっていたのか。
崩れ落ちるタイコーン辺境伯の背後からヒルデガルトが出て来た。あなたの娘ファミルは他の人を犠牲にしてまで病を治そうとは思っていない。その為に悪魔まで呼び出そうとする父を殺して止めて欲しいとヒルデガルトに頼んだのだ。
ここでヒルデガルトと初対面のリーゼロッテとユーリシア。しかしヒルデガルトが、あなた達が「私の」クルトの知り合いなのとか言い出すので、ここでピキーンと来てしまったリーゼロッテが対抗して「私の」クルト様のお知り合いのヒルデガルトさんですかとか意地の張り合いに。
ともあれこのタイコーン辺境伯は悪魔を呼び出すかもしれない以上は生かしておけないと剣を抜いたヒルデガルトだったが、ここでさらに背後から止める者ありけり。ファミルさん、すっかり元の姿に戻ってる。ああ、前回もう食事が喉を通らないって言った時にクルトの温泉饅頭食べたからね。
タイコーン辺境伯は大きな罪を犯した。王家の者としてのリーゼロッテは許せないが、今は工房の人間。なのでまあ理由を斟酌して今後は工房の役に立って貰おうと、めでたく終わりそうだったのに、そうは行かないと出て来たのがスクリプターと言う魔族。
魔族と人間の争いのシナリオを書いていたのに、司教の時も今回もどうしてこうもそのシナリオを破られるのか。もう良いと魔法陣を無理矢理起動して逐電。
そうして出て来た悪魔が、あ、以前魔法陣を消されてやられたデーモンロードじゃないか。今度はやられぬぞと息巻くデーモンロード。お前たちの絶望感が自分の糧となると。
そこにクルト登場。あれ?一度倒したデーモンロード。ああ、デーモンロードって一匹見かけたら50匹居るって言いますねとあっけらかんと言い放つ。自分を恐れぬクルトに動揺するデーモンロード。この炎で消えろと撃ち放つもののアクリの転移魔法でデーモンロードの方に直撃。これで益々弱るデーモンロード。だからユーリシアも動ける様になった。クルトが作ってくれた剣でデーモンロードの炎を、今度こそ消し去る。
ユーリシアのドレインソードに消されそうなデーモンロードは道連れとばかりにヒルデガルトに渾身の一撃。の筈だったのに、その攻撃が粉々になった。ヒルデガルトの胸にはクルトがくれた「硬くなったパン」が噛み砕けないまま入っていたから。これも伏線だったのかよ!
馬鹿な、ミスリルでも貫く攻撃が硬いパンに負けるだと?アダマンタイトやオリハルコンでなく?
あれ?この感覚、どこかで....まさかおまえはハスト村の人間かあと認識したデーモンロードは精神を維持出来なくなって消滅。
デーモンロードが消えたのは良いが、スクリプターの薬は魔力や生命力無しで無理矢理デーモンロードを召喚する薬で、それが切れたから魔法陣は勝手にこの一帯の魔力や生命力を吸い込もうとする。これはまた魔法陣を消してなんとかするのかと思ったら、タイコーン辺境伯の側近がお待ちどおさま温泉饅頭が届きましたと持って来て、魔法陣はそれを吸い取って満足しちゃった。温泉饅頭凄いな。
これを持って来たマクダナット(?)、バンダナと関係して分かっててやったのか。
相変わらずバンダナさん、クルトを見張っていた。
そして辺境伯領では全部が「よくある話」で全部うまく丸め込まれていた。ヒルデガルトにはミスリルで作った造花をあげてよくある話にしちゃったし。
「僕またやっちゃいました」系は鼻につくのが多いけど、クルトは全く自覚が無くて何かあっても全部よくある話だからどうと言う事はないですよねで済ませてるので、嫌な感じがゼロで良かった。