株式会社マジルミエ・第10話
箒のスペック調整をします。
桜木は新人だったので箒がデフォルト状態だったが、随分乗ったから個別の調整を入れよう。越谷も一緒にやって貰おう。これを聞いた越谷が久々に銀次さんに会えると喜んだ。タイトルも銀次さんで完全にミスリードされた。
「銀次さんは変わってる人だが」
普通はこう言う作品の技術者はパトレイバーのおやっさん榊清太郎みたいな人を想像するじゃん。大抵は。
そして向かった先で外で座って新聞読んでいる人がまさにその雰囲気を醸し出していた。それを見た桜木が何か呟いたんだけど、何て言ったの?「こぞう」って聞こえたが。
ところが越谷はその人に「銀次さんは居ます?」と聞くのだからこの人が銀次さんではない。部屋で待っていたらドローンが来た。まさか機械人間?そうでもなかった。これ、「日常」のはかせタイプじゃん。
見た目だけが子供のタイプかと思ったら、その後の小学校の漢字ドリルとかマジ小学生らしい。
と言う事で早速箒を見て貰う。話によるとそもそもマジルミエの箒は銀次製だそうだ。いや、その回想場面、もう完全に幼女じゃないか。どうやって知識が幼女時代迄に全部入ったんだ。
桜木の箒の中をチェックした銀次、機械としての消耗は少ないがメモリが減ってる。そのメモリが減ってると言うのは空き領域が減ってると言う意味か。桜木は過去に行った行き先を登録したり天候に合わせた飛行方法を登録したりしてると言うのだ。ああ、そりゃメモリの空き領域が減る。
しかしそれを聞いた銀次がぴぴーんと来た。
こんな人には新作を作らなくちゃ。
数日かかるだろうと言う事で、その間は会社のスペアを使おうと一旦帰社。
帰社してみたら社内が何だか騒がしい。あのEXPO会場での対応場面が動画として紹介してそれを見た申込みが沢山入ってるのだ。この大きな反響を受けて我が社はビジネスを拡大する。それを聞いた三人の想像がおかしい。
いや、普通はただ単に人を増やして請け負う業務を増やすと考えないか?
桜木の想像は仕方ないかも。直近でミヤコ堂の葵と一緒に仕事したから。
でも重本社長の言いたいのは分野を拡大すると言う事で、突発的変異に対応出来るシステムを売り出す。
社長の業務拡大方針に越谷や二子山はやたーと声を上げたものの、桜木は違った。二人は自分の強みを外に押し出せる。じゃあ自分には何があるのだろう。帰宅して電気ケトルでお湯を沸かして紅茶か何かを飲みながら桜木はそう述懐した。
出社してみたら銀次が来ていて、もう箒が出来たと言う。あれ?一晩で?先に越谷向け箒。随分変わったな。そして桜木の方。見た目はあまり変わってない。が、中身が違う。それを理解するにはこれだけのマニュアルを見て下さい。と、膨大なマニュアルが。
普通の人ならこれは無理。だけど桜木なら。
そして社長から新しい仕事の打ち合わせ。持ちビルの周囲に怪異が何度も発生する。その都度何度も退治したが一向に収まらない。マジルミエならと依頼が来た。
ビルとビルの隙間から怪異が発生する。中がどうなってるかと桜木が覗いて見ようとしたら桜木に止められた。中から攻撃が来たのだ。これでは中が分からない。分からないと退治出来ない。何とか中が分からないものか。これで桜木が気がついた。この新しい箒なら出来る。と言う事でコマンドを呼び出した。
スキャニング機能で中が分かる。ビルの間の奥で壁にへばりついてる。状況が分かったので直ちに二子山がプログラミング。
その様子を銀次と仁科が見ていた。仁科は108もコマンドを仕込んでも使われまいと言うが、銀次は桜木を信用していた。彼女なら全部使いこなせる。
まあ家電程度ならマニュアルは一通り目を通して使うけど(かと言って全部は使わない)、Linuxのマニュアルみたいなのが来たら全部は....一応全部は眺めるか。どんな感じのがあるのかだけでも。
銀次の期待どおりに桜木は機能を使いこなした。それに対して越谷。今回狭くて暗いからと照明を付けさせたが、桜木が新機能なのか!と驚くものの、これって以前からあるものですと説明し、それらを聞いていた銀次と仁科が頭を抱える。
魔法陣で隙間を塞いで魔法をぶち込んだ。たまらず怪異は消滅。
帰社して桜木を出迎えた銀次、どうだったかと聞いたら桜木は凄い箒だと言うが、凄いのは桜木なんだと言う。だって用意した機能をちゃんとその場に応じて活かせる。あなたはそう言う凄い人なのだと。自分の強みは何だろうと自問していた桜木、そこが(以前から描かれていたけど)桜木の売りなのだ。
さて、開発室から二子山が出て来たら銀次の様子が変わった。
え?そう来たの?
次のお仕事。一週間後に出向でマジルミエのシステムを勉強したいと言う依頼が来てる。その教育を桜木にやって貰おう。